病気の解説
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骨粗鬆症による「いつの間にか骨折」は、レントゲンに写らないことも

女性に多い骨折

骨粗鬆症という病名は、どなたでも一回はどこかで聞いた事がある言葉だと思います。年をとってくると誰にでも起こりうる病気の一つです。

 

男性よりも女性に多く、比率は文献によっても多少違いますが1対3の割合位で女性に多いのが特徴です。それも、閉経後60才を過ぎた頃から骨密度がガクンと下がり出します。

 

今は昔に比べると少なくなりましたが、よく背中が丸くなって腰が曲がったままのお年寄り(特に女性の方)を見かける事が多かったのを覚えていませんか?これが「いつのまにか骨折」の典型例です。

 

このように骨粗鬆症で骨密度が低くなった骨が押しつぶされて骨折してしまうことを、「圧迫骨折」「いつの間にか骨折」と言います。

 

昔の方は農作業にしろ洗濯・炊事にしろ、中腰の姿勢で作業する事が多かったせいでしょうね。背骨(胸椎~腰椎)の前方部が少しずつ押しつぶされる様な感じで、腰が自然に曲がっていったのです。

 

レントゲンを撮っても見逃される!?

骨折といっても、1/3位の方は痛みを伴わない場合が多いのです。原因がはっきりしている場合(例えば、尻もちを着いた、転倒したとか)は、レントゲンを撮るまでもなく診断は容易につきます。

 

しかし、何の思い当たる原因もなく、強い痛みを訴える患者さんが結構おられます。その様な場合は、まずレントゲンにて確認するのですが、レントゲンにおいてもはっきりしない場合が多々あります。

 

MRIによる診断が有効

胸腰椎部におけるいつのまにか骨折は、単なる腰痛症の痛みと違います。その場合、当院では30年来お世話にもなっているA病院の院長に依頼して、レントゲンではなくMRIを撮ってもらうようにしています。今まで数例の患者さんで、この方法でやっと胸腰椎の圧迫骨折(いつのまにか骨折)がわかったことがあるからです。

 

骨粗鬆症で骨折しやすい箇所

胸腰椎の圧迫骨折だけ説明をしてきましたが、骨粗鬆症になると下記の場所も骨折することがあります。

  • 股関節(大腿骨頚部骨折)
  • 肩に近い上腕部(上腕部上端部骨折)
  • 手首に近い前腕部(前腕部下端骨折)
  • 肋骨部の骨折(咳をしただけでも折れる場合有り)

 

1週間痛みが引かないときは相談を

この疾患は、最初の診断が重要です。当院では、重症度によってどの部位の骨折でも1ヶ月をメドに往診する場合もありますし、入院をすすめる場合もあります。また、箇所によっては手術をする場合もあります。

 

前段に書きましたが、胸腰椎の圧迫骨折はレントゲンに写らない場合があるので、見逃されてしまう例が少なからずあります。(ベテランの先生であれば、単なる腰痛との違いが経過を問診をすれば、ほとんど診断はつくはずですが…。)

 

もし一週間経っても痛みが引かない、寝返りだけでもつらい等いつもの腰痛等と違うなと感じたら、次の先生(整形or接骨院)を探してもう一度診察を受けて下さい。

 

また、当院での往診の場合でも圧迫骨折と診断できれば、1ヶ月は安静にするのは覚悟して下さい。痛みが引けば早めに治療、リハビリ、歩行を始めて早期回復を目指していきます。