歩くとつらいけど休むと楽に「閉塞性動脈硬化症」
足の血流が悪くなってしまう疾患
脚の血管の動脈が硬くなることによって起こる病気の事を言います。
主に中高年に多く見られ、脚の痛みで長い距離を歩き続けられないというのが特徴で、放置して重症になると脚の切断が必要になる事もある怖い病気なのです。
いわゆる脚の血管の血流が悪くなり「脚の狭心症」とも言える病気です。狭窄を起こす場所としては太ももやすね等の血管の他、下腹部で大動脈から左右の足に分かれる血管にも起こります。
歩くと足が痛くなるけど、休むと楽になる
この病気の大きな特徴の一つとして「間欠性破行」があります。
間欠性破行の特徴は一定の距離を歩くと脚の痛みで歩けなくなる症状の事で、数分間立ち止まって休むと痛みが少しは楽になり、また歩けるようになる症状の事です。
高齢者における「脊柱管狭窄症」においても同症状が現れるので、診る側の我々がこの二つの病気の区別を間違えないようにしなければいけない疾患の一つです。臨床が豊富な先生方であればこの二つの「間欠性破行」の違いが分かるはずです。
悪化すると足を切断することも
また、この病気の怖いところは、悪化してしまうと脚の切断をする場合もあるので的確な鑑別診断が重要になります。
腰痛等が原因で起こる脚のしびれや痛みは整形外科や接骨院の分野ですが、「閉塞性動脈硬化症」の場合は循環器内科や心臓血管外科が専門の分野になります。
運動や健康管理が大切
次にこの病気の治療と対策のポイントですが、喫煙は絶対に禁忌です。また、ウォーキングや適度な運動をする事も、初期の場合は効果があります。
薬物療法としては、血液を固まりにくくする薬を飲む事も有効です。さらに糖尿病、高血圧、高コレステロール等も危険因子なので、これらをコントロールする事も非常に大事となります。
これらの保存療法で改善しない場合は、カテーテル治療や脚の静脈や人工血管を使ったバイパス手術が有効となります。
先にも書きましたが、診る側の僕等が一番気を付けなければいけないのは、脚の痛みの症状が改善されないのにダラダラと治療を続けるのは良くないので、座骨神経痛との鑑別診断をしっかりして的確な診断をする事が非常に大事となります。