腰痛の80%は原因不明「不定愁訴」でも諦めない治療を
働き盛りの人にも多い原因不明の痛み
30年以上、治療家の端くれとして患者さんを診てきて思うのは、この症状の方々を診察する場合の難しさだと思います。
このような患者さんは、当院に来る前にも一応教科書的な検査を一通り受けておられる方が多く、又は私が紹介状を書いて検査を受けてもらうのですが、いずれの場合も当然のごとく検査ではっきりとした原因が掴めません。比率的には高齢者の方が多くなるのですが、中高年の働き盛りの方も最近はライフワークの変化に連れて多くなってるな、と感じます。
親身になってくれる先生も増えてきた
こういうケースで最悪なのは、検査では何も異常がないので患者さんが今訴えている痛みやしびれなどには全く聞こうともせず、パソコンだけを見ておざなりの痛み止めの薬を出すことしかしない医療者がいることでしょうね。更にダメ出しで年のせいだけにされては、患者さんにとってはたまったものではありません。
腰痛や脚のしびれや痛みを訴えてこられる患者さんに対して、一通りの検査をして異常がなければ非オピノイド系の薬を出して「後はしばらく様子を見ましょう」と言うパターンがほとんどだと思います。その後も検査等では異常がなく、病院としては薬が効かなければ、ほとんどの先生方はしばらく様子を見るしか無いのが現状です。
しかし、最近はこのようなケースの場合でも、もう少し親身になってくれる整形外科の先生がガバペンやリリカといった痛み止めの薬を試してくれる場合も増えてきました(それでも痛みが緩和されなければ、トラムセットなども)。整形外科の治療としてはブロック、硬膜外注射などの痛み止め注射も含めてこのあたりまでが限界だと思います。仕事柄、不定愁訴の例として「腰痛」を挙げていますが、内科のドクターだと更に大変だろうなぁと思いますね。
腰痛の80%は原因不明
腰痛の原因の80%は検査等ではわからない病気ですから、重症であったとしても検査等で原因が明らかな20%の方々は、考え様によってはラッキーと言えると僕自身は思っています。このような患者さんの場合は最終的に手術になったとしても、解決法が曲がりなりにも見つける事が出来るからです。
難しいのは原因がはっきりとしない残り80%の方々で、その中でも痛み止めの薬も注射等も全く効かず、日常生活や仕事にも支障をきたす方々です。その方達は当然のごとく色々な病院、クリニック、治療院を巡る事になる場合がほとんどだと思います。通ったところで的確な診断を受けて、治療の効果が現れる患者さんは幸せだと言えるかも知れませんが…。
100%に近づけるように
患者さんを診る立場である私の立場から言わせてもらえるならば、一人の治療者からの診断及び治療にも、残念ながら限界もあります。しかし、あくまでも患者さん自身が主役な訳ですから、自分の治療で結果が出ないのであれば、その方に一番効果がある先生又は病院等を紹介してあげるのがベストだと思います。
私の場合も、股関節ならばこの病院の誰先生、膝関節ならばこの先生と名前が出てきますが、「診断のつかない腰痛」になると非常に限られた病院又は先生になってきます。しかし、固定観念にとらわれず勉強をしていると色々と分かって来ます。
当然100%とは行きませんが出来るだけ、それに近づきたいと努力をしている次第です。この気持ちがなくなった時には、さっさと引退するべきだと思っておるのですが。