めまいや頭痛は「脳脊髄液減少症」の可能性も
まずは簡単チェック
この病名を聞いて「知っているよ」と答えられる方は、ほとんどおられないのではないでしょうか。いきなりですが、以下の項目に複数当てはまる場合は減少症の疑いがありますので、チェックしてみてください。
- 立っていると頭痛が強くなる
- 薬で治らない頭痛が続く。
- 原因不明のめまいが続く。
- 交通事故後、尻もち後に頭痛、頚部痛、耳なり、強い倦怠感などが続く。
- お産の後、体調が悪い。
- 雨の降る前に頭痛、めまい、だるさが強くなる。
まず問題になるのが、症状が多岐に渡るので患者さん自身がどの診療科、治療院に行っていいのか分からず、どうしてもドクターショッピングになる場合が少なくありません。
こうなると患者さんにとっては不安が募るばかりで、最終的には精神的なものとして扱われ精神科に行き着いてしまう場合が多く見受けられます。このようなケースになると、患者さんにとっては非常につらい立場にますます追い込まれてしまいます。
交通事故による脳脊髄液減少症の事例
当院で実際にあった例を紹介します。
交通事故後、近くの市民病院に運ばれ、レントゲン等では異常がないのでリハビリ、投薬等での治療を受けていました。しかし、1ヵ月経っても症状は変わらず、仕事復帰もままならない状態で当院に来院されたました。
検査等も異常がないということでしたので、当院でも重度のむち打ちによる後遺症と診断し、治療を開始。ですが、1週間経っても症状の改善が見受けられないので、その時点で脳脊髄液減少症を疑い始め、症状を詳しくもう1度洗い直し、脳脊髄液減少症と診断を下しました。
そして、脳脊髄液減少症に比較的理解のある大学病院の治療と、当院での治療を並行しておこないました。最終的には、この治療の第一人者である熱海病院の篠永先生に紹介して診てもらい、ブラットパッチの治療の効果もあり日常の社会生活は送れるほどに回復しました。
まだまだこの病名の認知度はそれほど高くはないので、減少症に理解のある病院や医師を探していかなければなりません。患者さんにとってはここが、ハードルの一つになるかも知れません。
数年前に比べれば保険も効くようになり、患者さん自身の負担も軽くなったので、僕自身も非常に嬉しく思っております。
きめ細かな問診・検査で診断はできる
脳脊髄液減少症の症状は、頭痛(起立時に憎悪する場合が多い)、頚部痛、背部痛、腰痛、めまい、耳なり、難聴、音過敏、光過敏、視力低下、性欲低下、睡眠障害、強い倦怠感など非常に多彩です。
しかし、この病気は詳しい問診と画像診断で確実に診断できます。以下の検査等で、髄液の漏出を見ることで診断ができます。
- 脳MRでの脳沈下
- CTミエロ
- RI脳槽シンチグラフィー
- MRミエロ
また、「慢性硬膜下血腫」「静脈洞血栓症」「胸郭出口症候群」「慢性疲労症候群」「繊維筋痛症」などとの鑑別診断が大切になってくると思いますので、診察する方も無理はしないで、信頼できる先生にも相談もしくは紹介できる状況をつくっておく事も非常に大事な事と思います。