60代女性「いつの間にか骨折」の診断と治療例
原因不明の腰から背中の痛み
60代女性の患者さんで、何か体に違和感を感じるとすぐに来院される患者さんのお話です。
今回ははっきりとした原因はなかったのですが、腰から背中にかけての痛みがあり、いつものようにすぐに来院されました。
1〜2回の治療で少し楽になっていたので様子を見ていたのですが、週明けの午後にタクシーに乗って、這いつくばるようにして再び来院されました。
本人に聞くと、痛みが少し和らいでいたので家の掃除をしたら、後から痛みが再発したとのことでした。
レントゲンを撮ってもいつの間にか骨折と診断されず
問診や痛みの様子からただの腰背部痛と違うと診断し、いつも検査を依頼するA病院の院長にレントゲン撮影をしてもらうために紹介状を書きました。
しかし、その日はたまたま院長が多忙で、代わりの非常勤の先生から「レントゲン上は異常が無い」と診断結果だったと患者さん本人から電話がありました。
いつの間にか骨折の診断と治療
患者さんは無理をしてでも入院ではなく通院で治ししたいと希望しましたが、とても動ける状態ではなかったため、私が往診をしてしばらく様子をみることにしました。
最終的に「胸椎の圧迫骨折(いつの間にか骨折)」と診断し、1ヵ月の安静と治療をして2ヵ月後に治癒に至りました。
いつの間にか骨折は臨床症状の見極めが大切
胸椎の圧迫骨折は、レントゲン上では良く分からない場合が多い骨折です。長年臨床に携わっていると、このような事はよくあります。また、これもよくある事ですが、レントゲン上では分からなかったのにMRIを撮ってみたらはっきりと分かった事も何件もあります。
レントゲン上は異常が無くても患者さんの臨床症状が一番大切なので、診る側が気をつけなければいけないほんの一例を書いてみました。
骨粗鬆症で治療中の方は簡単な外力で骨折してしまうことがあるので、用心をしてください。